Catholics in America

 今、Catholics in America という本を読んでいます。


 

Catholics in America (Religion in American Life)

Catholics in America (Religion in American Life)


 19世紀のアイルランドにおけるジャガイモ飢饉でどっと移住してきたアイルランド人、続いて大量に移民してきたドイツ人、ポーランド人、イタリア人、あるいはメキシコ領だった土地を併合した結果抱え込んだ多くのメキシコ人などの夥しいカトリック信徒により、プロテスタントの国だったアメリカ合衆国の宗教事情が一変してしまったこと、急激に増えていくカトリックへの偏見の強さ(閉鎖的な女子修道院で殺人や性的放縦があるといった悪意ある中傷が広く大衆に受け容れられ、いくつもの修道院が襲撃されたとか)など、いろいろ興味深い。


 1960年の大統領選でJFKカトリックであることが問題視されたことの背景理解になります。

 かつてアイルランド人は白人扱いされてなかったとか、アイルランド系への差別も激しかったし、そういう歴史を持つエスニックグループから出てきたRFKが、WASPよりもずっと黒人に共感できるのも無理ないですわ。


 また、第二次世界大戦で命をかけてカトリックも兵士として戦ったことが社会的受容につながり、戦後カトリックに好意的な一連のハリウッド映画が作成された(『我が道を往く』とか『聖メリーの鐘』とか)などという点はほほおと思いました。

 
 私は現在、第二ヴァチカン公会議アメリカのカトリック教会にどのような影響を及ぼしたかに関心を持っているので、そのままずんずんと読み進んで公会議のくだりまで来たら、出てきました。RFKが。それと、カトリック・ラディカルという言葉も。(もっとも、この言葉はかなり思い切った反戦運動を行なった司祭たちについて使用されていて、RFKには使用されていません)。

 RFKについての箇所で、個人的に最も興味深い部分を訳してみました。
 

 ロバート・ケネディは明らかにカトリック平和運動の影響を受けていたのと同様に、彼の人生の最後の年に、カリフォルニアの農場労働者運動のメキシコ系アメリカ人指導者であったセサール・チャベスと連帯したことにも影響されていた。(149p)

  (中略)

 ケネディ(RFK)の周りに押し寄せた群衆についてのチャベスの回想は、メキシコ系アメリカ人がケネディを―彼らがチャベス自身に対してしたのと同じく―政治的指導者である同時に精神的指導者であるとみなしていたことを示している。「彼の両手は人々が彼に触れよう、触れようとしたところに差し伸べられていたのです。」とチャベスは語った。(151p)

 かつて、何かでメキシコ系農場労働者たちがてんでにプラカードを掲げてRFKを喜んで迎えている写真を見たことがあります。そのプラカードはスペイン語で書かれていて、RFKの名前が「Roberto!」となっているのが印象的だったことを思い出しました。


 1960年代後半に盛り上がったカトリック平和運動についてはまた今度。