独り芝居RFK

※これは、2007年に別ブログで書いた記事に加筆したものです。


 2005年にオフブロードウェイで上演され、その後ボストンでも上演された一人芝居RFKを、いつか観られたらいいなとちょっぴり思っています。

 Jack Holmesという脚本家兼俳優の方が脚本を書き、主演しています。

 

 これは、1964年当時のRFKを演じているところでしょう、服装から推測するに。

 
 劇については:

 http://www.rfktheplay.com/ (注:2010年現在、「工事中」になっています。)

 
 2005年のニューヨークでの上演に対する批評としては:

 http://theater.nytimes.com/2005/11/18/theater/reviews/18rfk.html

 劇評は、ホームズの努力に対して好意的ながらも、やや辛口という印象(太字で強調している部分。この部分は、引用者である私が強調しています。)

Its informational value understood, though, "RFK" lacks the theatrical punch necessary to drive its historical points home. Mr. Holmes's outward mimicry is competent enough, with his wavy brown hair and sporadic Boston accent, but he misses the steely, boyish charm that made the real R.F.K. a star. The subtle Puritanism and sardonicism are there, but not the charisma that would allow a contemporary audience to transfer its longing for competent and inspiring leaders onto Mr. Holmes for 100 minutes or so.


 このお芝居を観てみたいと思うけどそれは無理なので、脚本を読むことを考えています。

 そう、脚本が出版されているのですね。ペーパーバックとして。(私のようなファンをあてこんでいるのだろうか?)

 

RFK

RFK


 ジャック・ホームズがどうしてこの劇を書くに至ったかについては、

Jack Holmes: Becoming Bobby | Broadway Buzz | Broadway.com(これが一番分りやすい。)

http://www.thevillager.com/villager_133/gettingtoknowjack.html 

 および
Jack Holmes finds a character and a calling - News - telegram.com - Worcester, MA

に書いてありましたが、どれも面白かったです。

 彼が、エージェントと「あなた誰に似てるって言われる?私はロバート・ケネディを思い出したわ」「それは面白い。僕は、今RFKについて一人芝居を書こうと思っているんです」と自分でも思ってもみなかった返事をし、「ぜひ書きなさい」と励まされてからしばらくして、本好きの彼が行きつけの古本屋さんに出かけたところ、そこにあった古い箱を見つけ、中身を店主に尋ねると、「全然分らない」と言われていてみると…

 なんと、そこにはRFK関連本が箱一杯に詰まっていた(箱ごと20ドルで買ったらしいが)

・・・という、この劇を彼が書くべくして書いたような、運命的な話は面白いです。


 それと、興味深かったのは、

http://www.pasadenaweekly.com/article.php?id=3050&IssueNum=2
 ※このブログのタイトルのヒントがどこから来たか、一目瞭然ですね(^_^;)

に書いてあった、グロリア・スタイナムがボビーについて語ったくだり。

 スタイナムは他のジャーナリストと一緒にRFKの選挙運動に同行して取材していたのですが、彼が暗殺された後はニクソンの選挙運動に同行するようになったそうです。そして、そこで目にしたニクソン陣営の選挙活動とボビーのそれとを比較して、彼女は仲間のジャーナリストとしばしば話し合ったそうな。

 (ジャーナリストたちはRFKに同行して目撃したことを書かなかったが、お互いによく話していた。)
 例えば、ウーンデッド・ニー*1に赴く途中のボビーと彼のスタッフを観察してたときのことね。彼のスタッフはただでさえ乏しい時間をこれに使うことに反対だった。一人が言ったわ、その居留地には殆ど投票者がいないでしょうと。ボビーはカンカンに怒って、こんな感じで言ったのよ「このろくでなし、お前は彼らのことをちっとも気にかけちゃいないんだ、そうなんだろ?」(“You bastards. You really don't give a damn, do you?")

 その後、スタイナムは続けた。「私はこうした話を報道しなかった記者たちの悲劇が分かるの。彼らは客観的でないといわれるのが怖かったのよ。殆どの記者がボビーのことを好きで尊敬していた。だからかえって彼について過度に批判的になった。殆どの記者はニクソンのことを好きでもなく信用もしてなかった。なので、逆に彼をあまり批判しなかった。結果として、私たちはボビーが何者なのかを彼が殺されるまで知らず、ニクソンが何者なのかを彼がホワイトハウスに入るまで知らなかったことになった。

 そう、記者たちは自分たちの観察したものを事実から区別しなくてはならないけれど、それを差し控えるべきではないのよ。でも実際のところ、『RFK』を観劇する多くの人たちは、初めてボビー自身の言葉によって真のロバート・ケネディに出会うでしょうね。この劇は、候補者が心と良心を持っているとき、政治家はどうあり得るかを示しているわ。」


 やっぱり、この劇観てみたいなあ!
 字幕つきで。

*1:サウス・ダコタのインディアン居留地にある場所。ここで昔、ネイティブ・アメリカンに対する虐殺事件が起こったので、インデァイン史にとっては象徴的な地名