脚本『RFK』

 ジャック・ホームズが書いた一人芝居『RFK』の脚本が、アメリカから届きました(結局注文している私…)。

 青い表紙の50頁ほどの薄さのものです。一気に読めました。

 一体、どの場面から劇は始まるのだろう、JFKが撃たれたという一報を受ける所が幕開けかな?と想像していたのですが、違いました。

 幕が上がると、こういう風に始まります。第一幕第一場「1964年」

 ステージ上は暗い。
 
 暗闇の中で電話が鳴り始める。数回鳴ったところで、机の上のランプと、ステージライトがつく。
 ステージライトは、ランプが照らしているわずかな部分と電話のみ照らす。
 しかし、その限られた光の中に、司法長官ロバート・F・ケネディが机に向かい電話を見つめている姿を観客は見る。
 5回電話が鳴った後、突如彼は前に身を乗り出し、ボタンを押しながら受話器を取り上げて言う。


RFK:副大統領になるつもりはない。いやだ。


 RFKは受話器を戻し、ランプを消す。ステージ上は暗闇に戻る。(音楽スタート)
 スポットライトがゆっくりとステージ中央に向かう。RFKは歩いてスポットライトの中に入り、中央に立つ。彼は黒いスーツ、白いシャツ、PT-109のネクタイピンをしっかりつけた黒一色のネクタイ、黒い靴といういでたちである。彼は観客に向かって語り始める。
  


RFK: 人生は、我々に変化を強いるやり方というものを持っている。僕は決して内向的な人間ではなかった。決して物思いにふけるタイプではなかった。考えるために立ち止まる人間では全然なかったんだ。


 スポットライトは徐々に消えてゆき、ステージ全体が明るくなる。セットが姿を現す。ステージ右から左に向かって、机、台の上にマイクロフォンが置いてある四角いテーブル、立派な木と革張りの椅子、そしてスツール一つ。台や演壇はない。The set is all on one level.(これをどう訳すと正しいのか、よく分りません。)セットのどこにもアメリカ国旗はない。RFKはシャツの一番上のボタンをはずす。笑って


RFK:副大統領だとさ。(ネクタイを緩めて下げる。)ジョンソンはとうとう自分と共に選挙を闘う相手を指名した。そして、あいつは俺をホワイトハウスに呼びつけた、お前じゃないと個人的に告げるために。ただ、俺のその時の顔が見たかったからだ。ああ…、これがあのカウボーイ野郎を四年間無視して得たものってわけだ(RFKはステージを右へ移動する)
リンドン・ジョンソンのもとで、この世界は変わってしまった。まるで時計の針が逆戻りしたみたいだ。我々はアイゼンハワー時代に逆戻りしている。・・・えーと、くたびれてきたので、以下省略(^_^;)。

 てな具合で始まるのですねー。

 第一幕は、下のような喪服姿で演じられます。

 この劇は第一幕と第二幕の二つしかありません。第二幕は1967から68年で、服装は紺に薄い白のストライプ入り二つボタンのスーツに、紺に白のストライプのネクタイになっています。レジメンタルのネクタイにするところが、ボビーの服装よく見てますねー、ホームズさん。

 ちなみに終わりは、ホテルの台所で撃たれた時に実際に録音された音声(Get the gun! Get the gun!と言っているもの)が流れて、それが徐々に消えた後に

RFK:僕は殆どやり遂げたんだ(I almost made it.)。兄さんには1000日あった。でも、1000日なんてないも同然だ、だろう?時は過ぎ去っていく。すごい速さで過ぎ去っていこうとするんだ。僕は今、42歳だ。信じられるかい?兄さんは、僕のことを殆ど分っちゃいなかった(You'd hardly know me.)。

(悲しそうに)

 ジョニー、兄さんは僕のことを殆ど知らなかったんだよ。

 音楽スタート。ボビー・ケネディは月明かりの下、兄のお墓の前に立っている。あたかも彼はその音楽を聞くことができるかのように立っている、それから、ゆっくりとステージを右の方に歩いてスポットライトから出て、アーリントン墓地の暗闇に消えていく。スポットライトはゆっくり消える。音楽が終わりに近づく。ステージは完全に暗くなり、沈黙となる。

終わり。 

と、こんな感じで終わります。

 翻訳は本当に下手ですが、まあ感じだけでも。

 一人称をどう訳すかだけでも、悩みますね。日本語は難しい。ボビーは「私」「僕」「俺」どれが似つかわしいのかしら。