『20世紀の証言』CD
かつて、私は1968年4月のキング牧師暗殺を伝えるRFKのスピーチを無謀にも訳し、このブログに載せるという暴挙をしたことがありますが、先日ある本の中に全文訳を見つけました。
その訳文は、アルクから出版された『20世紀の証言 第1巻 アメリカ政治の展開』に収録されていました。
20世紀の証言―英語スピーチでたどるこの100年〈第1巻〉アメリカ政治の展開
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この本は英語の勉強をしましょうというコンセプトも兼ねているため、CDが付いていて、大統領や議員たちの名演説や歴史に残る演説を聞くことが出来ます。
20世紀初頭のタフトやW・ウィルソン大統領の演説がまず入っているという、ちょっと感動もののCDです。
他にもセオドアおよびフランクリン・ルーズベルトの演説、JFKがニクソンと行った大統領選挙テレビ討論の一部、ジョンソン大統領の大統領選挙出馬辞退の声明(RFK関連のドキュメンタリーを見ると、必ず聴けるもの)、ニクソンの大統領辞任演説、そしてクオモの民主党大会での基調演説など、なかなか聴き応えがあるCDです。
ただ、肝心のボビーの説明文に誤りが。
RFKの暗殺日が7月4日になっていました。
なんでやねん。
それと、演説には解説がついていますが、そこにボビーが演説の途中、キング牧師のご家族のために祈ってほしいと言った直後に"Year, it's true" と言ったのを、「混乱した一部の聴衆の問いかけに応えたものらしく、(中略)聴衆と対話する血の通った話者のイメージが伝わってくる」(106頁)と説明しています。
また、この部分の注でも、聴衆の中からキングの暗殺は本当かと問いかけがあって、本当だとRFKが答えたという解釈がされています。
しかし、後半の聴衆と対話する云々はよいとして、前半の解釈について、私は意義あり!です。
映像で全部この演説を私は何度もみてますが、聴衆が問いかけて応えたという風には、全然見えません。
そうではなく、ここはキング牧師の遺族のために祈ること、(それは本当にすべきことで、)そう、それはそうですが、しかし、もっと重要なことは国の為に祈る事です…と続くのだと、私は考えています。
なにせ、即興でやっていますから、考えながらはなしているわけで、( )に入っているニュアンスでRFKは"Year, it's true"と言ったのではないかなあ。
…と、ここで私が主張したからといって、世の中に何の益になるわけでもないですが(^_^;)。
気になったもので。
ところで、このCDを聴いていて、他に気に入った演説として、マリオ・クオモ知事(ニューヨーク)のものがあります。レトリックの使い方、および話し方が上手い。
それと、もし生きていたら、レーガンの政策を非難したに違いないRFKが言いそうな内容だと思うので。
追記:でも、クオモ氏の演説って、聴いているとどこか嘘っぽいのですよねー。自分が話していることを心の底から信じて語っている感じがしない。
ボビーは信じて語っているという感じがするのですけど。
この頃の民主党は、まだよかったなあ。
今は共和党と何が違うんだという感じになっているように思われますが…。