ミシシッピー・バーニング
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1964年夏。ミシシッピー州ジェサップ。三人の公民権運動家が杳として行方を絶った。ただちにFBIは大がかりな捜査に乗り出し、二人の腕ききの捜査官を現地に派遣する。老練なアンダーソンとハーバード出のエリート、ワードである。捜査に当たって二人はことごとに対立するが、ついに三人の遺体を発見する。焼き打ち、リンチ、殺人の横行する深南部を舞台に、KKKとFBIの壮絶な対決を描く大作の小説化!
かつて観た映画のノベライズ本が処分を免れて本棚の隅にころがっているのを発見し、1964年夏ならまだRFKが司法長官をしてた時だな、と思って再読。
- 作者: ジョエルノースト,石村一彦
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1989/03
- メディア: 文庫
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公民権運動についての学術書を読むのとはまた違う、60年代のディープ・サウスの黒人を取り巻く状況、白人の心理などが個々の人間を通して具体的、立体的に描かれていたので、それなりに興味深かった。
具体的なディテールがより分かると、RFKがミシシッピ・デルタ地帯に出かけて、黒人の家に入ったということがどれほど重みがあることだったか、かつ、彼がその地域の白人からどれほどの憎しみを買ったかが多少なりとも感得できたような気がする。
ボビーが分離主義を死守したい白人たちから「ニガー・ラバー」と呼ばれひどく憎まれていたのも無理ないな。
また、白人と黒人の間にある、複雑で深く暗い溝の存在もちょっとだけ見えて、白人のRFKが黒人から絶大な信頼を寄せられていたことがどれほど凄いことだったのかも、前よりも少し分かったように思う。
ところで、『ミシシッピー・バーニング』の中で、失踪した3人の公民権運動家の捜査のためにミシシッピー州に派遣された東部出身でエリート捜査官のワードとミシシッピー出身でたたき上げの捜査官アンダーソンの二人が最初に登場するシーンで、ワードが最初は司法省にいたと言って、アンダーソンがケネディの取り巻きかと返すところで、そうか、ワードはRFKが司法省に集めた人物の一人という設定だったんだと一人で盛り上がってしまいました。
RFKは司法長官時代、優秀なスタッフを揃えて、司法省の歴史上においても屈指の組織を作り上げたことでも評価されているので、こういう細部がなんだか嬉しい。
あとワードの容貌や性格やくせの描写がRFKのカリカチュアになっていることに気付き、思わず笑ってしまいました。
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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映画も公開時に観に行きました。教会を焼打ちされるシーンで涙がとまらなかった記憶がある。ただもう衝撃でした。
あと、ジーン・ハックマン演じるアンダーソン捜査官が保安官を床屋で脅すシーンが心底怖かった覚えがあります。
それにしても、アメリカの黒人問題はとても一筋縄ではいかず、趣味で調べている程度では、歯が立たない問題だ。