『ケネディ』

 中公新書から出た『ケネディ―神話と実像』を入手しました。

ケネディ―「神話」と実像 (中公新書)

ケネディ―「神話」と実像 (中公新書)

 JFKの伝記なのに、そこからRFKについての記述を拾いつつ読むという無理をしているところです。

 土田宏氏は、いつもケネディ家に対して暖かいというのか、優しいというのか、敬意のこもった眼差しを注がれている方だなあと思います。

 『ケネディ兄弟の光と影』でも、甘いのではと感じたほどその筆致は優しかったように記憶しているので。(RFKファンとしては嬉しい本でしたが。)

 この間、『ケネディ王国―権力に憑かれた男たち』にざっと目を通し、アメリカではケネディ家お抱えの御用伝記作家たちによって作られたケネディ神話はもう崩壊した、そんなものを信じているのは日本人だけと非常に冷たく突き放した「あとがき」(その内容にはいくつか疑問がありますが)と、ケネディ家への怨念すら感じさせるような著者ギャリー・ウィルズの書き方にがっくりしたところだっただけに、なおさら、この優しさが身に沁みます。

 

ケネディ兄弟の光と影

ケネディ兄弟の光と影

 

ケネディ王国―権力に憑かれた男たち (1983年)

ケネディ王国―権力に憑かれた男たち (1983年)

 もっとも、ウィルズの立場になって意地悪く言えば、『ケネディ』はケネディ神話を壊したくない人がそれを守るために書いた「よいしょ本」だということになってしまうのかもしれません。