クリントンによるRFK:その2

 マーティン・ルーサー・キングの死は、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺以来例がないほど、この国を大きく揺るがした。その晩、インディアナ州へ遊説していたボビー・ケネディは、国民の恐怖を静めようとして、おそらく生涯で最も優れた演説を行なった。黒人たちに、白人たちへの憎しみに囚われないでほしいと訴え、自分の兄も白人に殺されたことを思い出させた。それから、アイスキュロスの偉大な詩を引用して、人間の意志には関係なく、「荘厳な神の恩寵によって」苦悩から英知がもたらされるのだと言った。ボビーは、目の前の聴衆と、耳を傾けている国民に向かって、きっとこのつらいときを乗り越えられる、なぜなら大多数の黒人と白人は、「ともに暮らし、生活の質を高め、この国に住むすべての人間が公正に扱われることを望んでいるのだから」と訴えた。そして次のように締めくくった。「ギリシャ人がはるか昔に書いた言葉を、ひたむきに追い求めましょう。人間の残忍さを飼いならし、この世の生命を優しさで満たすのです。ひたむきに追い求め、わたしたちの国とわたしたちの国民に、祈りを捧げましょう。」(上巻、199〜200pp)

 その演説すべてを聞けるビデオ。

 話している(動いている)ボビーの映像を見ることができるもの。 

 
※これは、PBSで放映された『RFK』からのもの。一分半ほど。

 
※こちらはカラー映像。スペイン語の字幕つき。ただし、演説全部は聞けません。
 
 演説全文は、こちら。

http://www.jfklibrary.org/Historical+Resources/Archives/Reference+Desk/Speeches/RFK/Statement+on+the+Assassination+of+Martin+Luther+King.htm

 インディアナ州でボビー・ケネディは初の「新しい民主党員」となった。(中略)彼はすべての人々の公民権を信奉し、誰に対しても特権を認めず、貧しい人々には施しより手助けが必要と考え、福祉よりも労働を重視した。そして、積極的な政治には、新しい政策と基本的な価値観の両方、広範囲にわたる変化と社会の安定の両方を擁護することが必要だと、本能的に理解していた。もし彼が大統領になっていれば、20世紀後半のアメリカは、今とまったく違う道のりをたどっていただろう。(上巻、201〜202pp)


 本当にそう思う。アメリカだけでなく、世界が違う道のりをたどったと思う。

  

 火曜の夜、ボビー・ケネディは、ロサンジェルス郡の少数民族系の有権者から絶大な支持を得て、カリフォルニア州で勝利した。トミー・カプランとわたしは大喜びだった。わたしたちは、ケネディの勝利宣言を聴いてから眠りについた。ワシントンでは午前3時近かった。数時間後、トミーがわたしを叩き起こした。わたしの体を揺さぶって叫んでいる。「ボビーが撃たれた!ボビーが撃たれた!」(上巻、202〜203pp)


 それぞれの人がそれぞれのボビー暗殺体験をしているのですね。