クリントンによるRFK:その1
図書館からビル・クリントンの自伝『マイライフ クリントンの回想』上巻を借りてきて、さっと目を通しました。
マイライフ クリントンの回想 MY LIFE by Bill Clinton 上
- 作者: ビル・クリントン,楡井浩一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/09/10
- メディア: 単行本
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とりあえず、ボビー・ケネディに関して言及している部分のいくつかをご紹介します。
群を抜いて有名な一期目の上院議員は、ニューヨーク州のロバート(ボビー)・ケネディだった。1965年に、今はヒラリーが占めている議席からケネス・キーティングを追い落として上院議員となり、弟のテッドと合流したボビー・ケネディは、魅力的な人だった。無垢のエネルギーを放っていた。猫背でうなだれて歩きながら、なおコイルばねのように空中へはじけ飛んでいきそうに見える人物を、私はほかに知らない。一般的な基準で優れた演説者とは言えなかったが、激情と熱意を込めて話すので、聴衆を幻惑する力を持っていた。そしてもし、万人の注意を自分の名前や容貌や演説で惹きつけられない場合には、ブラマスという味方がいた。大きな毛むくじゃらのニューファンドランド犬で、わたしがこれまで目にしたなかで最大の犬だ。ブラマスは、よくケネディ上院議員とともに仕事へやってきた。ボビー・ケネディが投票のため〈新上院議員オフィス・ビル〉のオフィスから議事堂へ歩くとき、ブラマスはその横を歩いて、議事堂の石段をひょいひょいと駆け上がり、円形大広間の入口の回転ドアまでたどり着くと、外に座ったまま、主人が帰途につくまで辛抱強く待っていた。あの犬にあれほど尊敬される人物を、わたしが尊敬しないわけにはいくまい。(『マイライフ』上、160〜161pp)
このボビーの後ろにいる大きな黒犬がブラマスではと思っているのですが…違うかも。(RFKはたくさん犬を飼っていて、私はよく分かっていないのであります。これではファンといえませんな)。
司法長官時代に、ボビーは家族が夏休みで全員いなくなって寂しくて仕方ないのでブラマスを連れて出勤し始め、これに対してフーヴァーFBI長官は職場に犬をつれてきてもよいものかどうか会議の議題にかけたとシュレジンガーの本で読んだような記憶があります。(記憶違いかも知れませんが。)
RFKの大統領選参入後。
司法長官、そして上院議員としてのケネディの働きを見る限り、マッカーシーよりも国内問題を重視していると思えたし、ずっと有能な大統領になるだろうと確信できた。マッカーシーは、白髪でハンサムで長身の魅力的な人物で、明晰な頭脳と鋭い機知を備えたアイルランド系カトリック教徒の知識人だった。しかし、外交委員会でわたしが目にした印象では、あまりにも超然と構えているような気がした。ニューハンプシャー州の予備選挙に立候補するまでは、世の中の動きに対して奇妙なほど受動的に見え、正しい側に投票し、正しいことを言うだけで満足している様子だった。
それにひきかえ、ボビー・ケネディは、大統領への立候補を表明する直前、リンドン・ジョンソンがヴェトナムへさらに20万人の派兵を行なう前に上院の発言権を確保するため、フルブライトの提案した決議を通過させようと懸命に努力していた。また、アパラチア地方へ赴いて、アメリカの辺地の貧困がいかに深刻であるかを訴えたり、南アフリカを訪問して、アパルトヘイトと闘う若者を激励するというすばらしい活動を行ったりした。マッカーシーは、好感は持てるものの、どちらかといえば、タール紙ぶきの小屋に入っていって貧しい人々の暮らしを視察したり、地球の裏側まで飛んで人種差別を糾弾したりするよりも、家でトマス・アクィナスを読んでいるほうが似合っている気がした。(同上、197p)
ユージン・マッカーシーはエニアグラムでいえば、絶対タイプ5ですね。
あの激動の1968年において、マッカーシーではダメだったでしょう、やはり。